"心の叫び"

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約四年前の夏ー 颯は、優也と大学の研究室の仲間と一緒に旅行に行っていた。その時事故に合い、生死をさまよったのだ。だが、奇跡的に、一命を取りとめる事ができた。 その事を知った一輝は、慌てて颯が入院している病院にお見舞いに行った。 "颯が生きてくれてて本当によかった。今度こそちゃんと話そう。誤解を解きたい" 一輝はそう思いながら、病室の前に立つ。 コンコンとノックをするが返事がない。 だが、耳を澄ますと、"んっ、はぁんっ、んっ"と、颯と誰かの喘ぎ声の様な音が聞こえる。不審に思いながら、ドアを開けた。 すると、颯と優也が抱きしめ合いながら深い口付けをしていた。 「んっ、優也さん、愛してるっ、はぁん」 「俺も、んっ、愛してるっ、んっ」 一輝が病室に入って来た事も気づかない。一輝は恐る恐る声をかけた。 「颯?」 颯と優也は、声がする方へ顔を向けると、一輝が呆然と立っているので二人は驚く。 「お前が事故に合ったって聞いて、、、っていうか、お前達今何してーー」 「お見舞いに来てくれたんだ。ありがとう。優也さんは、僕の彼氏だよ。恋人とキスしてたらダメ?」 一瞬、二人は距離を取ったが、颯は、幸せそうに笑いながら、優也を抱きしめる。 颯は、風香達にカミングアウトした時はすんなり理解して貰えたので、一輝も同じように理解してくれると思ってしまった。 "颯。お前が同性愛者でも、俺は変わらずお前の幸せを願い、味方であることを忘れるなよ。" "私達は唯一無二の兄妹でしょ?嫌う訳無いじゃない" "俺達、友達だろ?" 皆、温かい言葉を颯に贈ってくれた。だから、きっと一輝も同じようにーー。 颯は今なら一輝と向き合って、本当の親友になれると思ったのだ。 「彼氏?男同士?、、、そんなの、気持ち悪い、、」 一輝は、颯達を嫌悪する様に口に手を当てて、病室を出た。 "男同士!?そんなの普通じゃない!!" "色々誤解を解いて、また仲良くしたいと思っていたのに。あんなの見せつけられたら俺は" 一輝は、幸せそうに笑う颯を初めてみたが、受け入れる事ができない。ただひたすら泣きながら走って病院を出たのだった。 颯は、俯きながら、肩を震わせ、歯を食いしばり涙を流した。 一輝の嫌悪の表情と言葉がずっしりと重くのしかかってくる。 「僕、気持ち悪いんだ。一輝にとって、僕は、、、うっ、うっ、あーーーーーーーーー!」 優也は、颯をギュッと抱きしめた。 「俺がお前の傍にずっといる。」 颯は、優也にしがみつきながら泣き叫んだ。 "一輝は、苦しんでいる人と寄り添える医者になるんじゃなかったの?僕がどれだけ、ゲイである自分自身の事を悩んでいたか分かる?同じ男の親友を好きで、でも嫌われたくなくて必死だったか分かる?一輝にとっては僕は、ただ気持ち悪い存在で、医者になっても僕を見捨てようとするの?" もう一度、颯の"心の叫び"が部屋中に響き渡ったのだった。
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