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レッドはその手を差しのべてくれた
とは言ったものの、パワードスーツの使い方がわからない。とりあえずパンチでスーツの威力を試してみよう。
「こうしてやる!」
あたしはレッドにパンチを食らわせようとした。が、
「重い…」
重すぎるから物凄くゆっくりとしたパンチを繰り出したけど当然避けられた。
「しおりんっ、肩にあるボタンを押すのよ!」
「はい!先輩!」
きっと武器ね!なんかの武器が飛び出すのね!あたしはボタンを押そうとした。が、
「重い…」
重くて肩まで腕が上がらない。
憐憫の眼差しでレッドがあたしを見ている。なんて屈辱なの。
そうか!これは沙織先輩があたしに与えてくれた試練なのね。リーダーを務めるならこのくらいの試練は乗り越えなさいってことね!
「やっぱり6時間で作ったから改善点が多いなあ。とりあえず動きを補助するモーターを付けて大きいバッテリーも付けようっと」
沙織先輩、そりゃ無いよ~。
あまりの重さに体力を消耗して、へたり込んだあたしの前にレッドが立った。
「な、なによ!どんな攻撃だって受けてやるわよ!」
「俺は正義のヒーローだ。弱って無力な女の子を攻撃なんてしない。さあ、そんなとこに座ってないで立つんだ」
そう言ってレッドはあたしに手を差しのべてくれた。やだ、なんかキュンとした。意外と良いヤツじゃないの。
レッドはあたしの手を掴み引っ張ってくれた。が、
「重い…」
あたしはビクとも動かなかった。
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