風来坊モロボシ

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風来坊モロボシ

「なんて非力なヒーローなの、格好悪っ」  あたしの胸キュンを返せ。 「俺が変身できる時間は5分だ。つまり今は変身が解除され、一般人と同じだっ!あっははは」  自慢するなっ! 「しかし変身しているとはいえ、こんな重いものを装着して自力で立ってたんだな。そうとは知らずに馬鹿にしてすまない」  レッドは素直に謝った。悪いと思ったら謝ることができる。なんだ、やっぱり良いヤツじゃないの。  白タイツさんに手伝ってもらい、あたしはパワードスーツを脱いだ。ああ、身軽になった。それにしても肩のボタン、押したら何が起きるんだろう。 「しおりん、もう1人のメンバーを紹介するね」  そう言うと沙織(さおりん)先輩は  ピコピコピー と笛を鳴らした。なにこれ?マグマ大使が来るの?と思ったら 「華麗なるへんしーん」  スナックの扉が開いて黄色いジャケットを着た男が入ってきた。どこからどう見ても彼がイエローね!  あたしは立ち上がって挨拶をしようとしたけど、まだ体力が回復していないから立ち上がれない。 「無理しちゃいけない、座ったままでも大丈夫だ」  あ、この人も優しい。けど、服が格好悪いからキュンとしない。 「俺かい?俺は、ご覧の通りの風来坊です」  聞いてもないのにイエローは自己紹介を始めた。 「名前?そう、モロボシ・カズミとでもしておきましょう」  え?かーくんなの?あたしはイエローの足元を見た。ローラースケートは履いてないなあ。レッドが叫んだ。 「騙されるなっ。かーくんはではなくだ。だから名前は似てるが、非なる者だ!」  なあんだ、アイドルグループの苦労話ができると思ったのに。あ、そうだ。少年少女ちびっ子のみんな、説明するね!諸星(もろほし)和己(かずみ)はアイドルグループ光GENJIの人だよ!詳しくは検索してね!  その時だ!  ブオーンと非力なエンジンをブン回す音が遠くから近付いてきて、スナックの前にキキキと軽トラが止まった。  そしてスナックの扉がバーンと開いて鎖のついた鎌を持った怪人が入ってきた!  レッドが叫んだ。 「お、お前はっ!」
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