大円団

1/1
前へ
/7ページ
次へ

大円団

「これでレッド、イエロー、ピンク、グリーンが揃ったな、おやっさん!あとはブルーだ、どうする?」 「大丈夫だレッド!任せとけ」  嬉しそうに言うとおやっさんは、マジックで紙に 『ヒーロー・ヒロイン募集中(ブルー限定・1名)試用期間中は時給980円』 と書いて外から見えるように窓に貼り付けた。  なんですって?!時給980円?!あたしが飛騨の国で働いてた居酒屋の倍以上じゃないの! 「さあ、しおりんの歓迎会をやるぞ。今日は我々だけでこのスナックは貸切だ。すき焼きだぞお」  おやっさんがコンロと鍋を並べ始めた。すき焼き!もしかして飛騨牛! 「しおりん、これは神戸牛よ!」  あたしはいつになったら飛騨牛を食べられるの?  準備が整うとおやっさんが真面目な顔で挨拶を始めた。 「え~、本日は遠く飛騨の国からやって来ましたピンクことしおりんの歓迎会のためにお集まりいただきまして…」  みんな時折拍手をしたりしてニコニコと話を聞いている。  なに、この流れは?大円団?!  もしかして最終回なの??  中央であたしが活躍する物語は無いの?  その時だ!  みんながスナックのカラオケステージに立ってザ・ドリフターズの『いい湯だな (ビバノン・ロック)』を歌い始めた。 おやっさん「さあ、もう少しいってみよー!」 レッド「みんな!『怪人と俺』シリーズは今回で終わりだ!楽しんで貰えたかな?」 さおりん「でも安心してね!『正義の公然結社「お前らぶっ潰す」』シリーズ(※)が始まるからね!」 イエロー「それまでの間、しばしのお別れだ。再会までの間、ちゃんと風呂入れよ!」 グリーン「宿題やって歯磨けよ~ん!」 レッド「マスクしろよ!」 さおりん「うがいもしっかりね!」 おやっさん「また会う日まで~!」  『8時だヨ!全員集合』のエンディングかっつーの。  でもあたしは神戸牛を食べながら、これから来るであろう戦いながらも楽しそうな日々に、ちょっとワクワクした。  ーー完ーー ※筆者注 『正義の公然結社「お前らぶっ潰す」』シリーズの開始時期は未定です。
/7ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5人が本棚に入れています
本棚に追加