4.福

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4.福

 一週間はあっという間に過ぎていった。前までは気が遠くなるほど長かったのに、今は違う。  今日はクリスマスで終業式で、誕生日だ。  朝起きると、各々の机にプレゼントが置いてあった。   「おはよう、祐輔誕生日おめでとう、それとメリクリ」  と、祝福してくれて胸が熱くなった。誕生日に“おめでとう”と言って貰うのは初めてで。穏やかなクリスマスも初めてで。目の奥がジンとする。  カードが置かれていてそれには『祐輔くん お誕生日おめでとう&メリークリスマス! 幸せな一年になりますように』と書いてあった。  ここで暮らしていけるのも幸せなのに更に幸せを祈ってくれて胸がドキドキする。  プレゼントのリボンを解くと、絵の具セットとなんと七十二色もある色鉛筆セットが入っていた。 「おお、すげーな」  互いのプレゼントを見せ合っているとドアが勢いよく開いた。  ゆりちゃんだ。 「早く朝ごはん食べなさい、遅刻するよ」 「やばっ」  急いでプレゼントを置いて食堂へ走って行った。 *  校長先生の長い話から解放されて終業式はおしまいだが、このあとは各自の教室で“あゆみ”が返ってくる。  出席番号順に一人ずつ廊下で返されるらしい。僕は“小田”だから出席番号が四番と少し早めだ。 「緊張するなー」  モトは心臓に手を当てている。モトは“篠田”だから中盤で呼ばれるらしい。  呼ばれるまでは自由なので、話したり読書をしたり、絵を描いたりとみんな好きなことをしていたけれど、あゆみの結果が不安で何も手につかない。  ママは普段僕に興味がないのに、終業式だけは把握していて成績が悪いとひどく怒られた。  『出来損ないだ』『ダメなやつだ』『劣等生』……そんな言葉のナイフが僕の柔らかいところを抉っていた。  もし、悪かったらどうしよう……  時は無常に過ぎていき、僕の番になって緊張しながら廊下へ出た。
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