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手を洗って外に出ると、低学年の子が走り回っていた。
「ダメだよ! 砂が入っちゃう!」
高学年の子が低学年の子を注意する。走らなくなったと思いきや、今度はおじさんたちにベタベタと甘えにいく。
それを横目に消毒液が設置されていたので、しっかり消毒した。それからマスクもつけた。
そして、中学生、高校生は園庭の隅でケータイをいじるか、話している。
大人たちは忙しく動いている。なかなかにカオスだ。
ようやく準備が整っていよいよ餅つき開始だ。
それにしても、お餅ってどうやってできているんだろう。じーっと見慣れないおじさんたちを見つめた。
「それじゃあね、はじめます」
はっぴを着たおじさんが木製のハンマーのようなものを、これまた木製の容器に向かって打ち付ける。横に座っていたおじさんんが横にあるボールに手を浸してから容器に手を入れ餅をひっくり返した。
「ハイッ、ハイッ」
リズミカルにぺったん、ぺったんと餅がつかれていく。
しばらくしておばさんが話し出した。
「皆さん明けましておめでとうございます!」
「おめでとーございます!」
「今年もね、餅つきをやらせていただく事になりました。えぇと、簡単にお餅ができるまでを話しますね。餅米、というものから作っています。こう、ペッタンペッタンする前に蒸しているのよ。器が臼、ハンマーみたいなのが杵です。杵は結構重いです。
そうそう、もう少ししたらお餅が柔らかくなるので、餅つき体験やってみない? あ、今このおっちゃん達が使っているのより軽い杵があるから、心配しないで。お友達とやってもいいよ」
お餅の出来方と名前を初めて知った。僕はまだ知らないことばかりだ。
この前の学校帰りに見かけた自動販売機も使い方が分からず、眺めていたらモトが教えてくれた。昔家に居れない時、よくコンビニにいびりたっていたから、買い物の仕方はなんとなく分かるのだけど。
──僕はなにもわからないし、知らないのだ。
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