6.新学期

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6.新学期

 短い冬休みはあっという間に過ぎていった。  お正月明けはアサガオモールに行って、手袋を買ってもらった。モトも小さくなっていたのでコートを買ってもらっていた。アイス目当てにアキもついて来たけれど、あまりのも寒かったので結局何も食べずに帰宅したのだった。 「行ってきます」 「はーい、みんないってらっしゃい」  宮ヶ丘小学校、通称・宮小に行く人たちは大抵同じ時間に出る。僕らの若葉棟は七割近くが宮小だ。だからこの時間の玄関はとても混雑している。  ランドセルには印鑑とコメントが記された“あゆみ”と宿題、筆箱が入っていてとても軽い。  新品の手袋を身について外に出る。大きく息を吸うとひんやりと澄んだ空気が胸に満ちていく。少し眠かったけれど、目が覚めた。  一班みんなで登校だ。話しながら歩いていると、ユキちゃんの表情がいつもより明るいことに気が付いた。 「あと少しで三年生おしまいかー」 「あたしお姉さんになれるなぁ」 「そうだね、二年生だもん。ぐんぐんハウスからまた一年生が来るかもしれないから、アキ、お姉ちゃんになるんだよ。ワガママばっかりはダメ」 「分かってるよー」  ぶぅ、とアキは頬を膨らませた。  宮小では三年生、五年生になる年にクラス替えがある。だから、来年度、一班では誰もクラス替えはない。良かった、と小さく息をついた。まだ余りクラスに馴染めていないし、もしもモトと離れてしまったら何もできなくなる。  来年度になったら今の六年生で、家に帰れない或いは家が無い人たちは向日葵棟に行く。新一年生でやはり行き場がない子は太陽の家に来る。おそらく一班のメンバーは変わらないが一部では変わるのだろう。  来年度、出来れば太陽の家に来る子が少ないといい。いいお家があればいいのに……  そんなことをぼんやり考えていたら、あっという間に学校に着いた。
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