6.新学期

4/9
51人が本棚に入れています
本棚に追加
/86ページ
 掲示係、新聞係は確定。足りない分はきっとジャンケン負けした人が来るのだろう。  最終的に、新聞係は四人で、僕、モト、北さんに太陽の家のなっちゃんに決まった。 「はいじゃあ、新しい係の子と顔合わせして、今後の方針について話し合ってください」  なっちゃん以外席が近かったため、なっちゃんが僕らのところへ移動してきてくれた。 「よろしくね」 「おう、よろしく!」 『よろしく』  北さんとはたまに話すし、なっちゃんは太陽の家、という事もありホッとした。まだあまり話した事のない人と関わるのは怖い。 「どういう新聞にする?」 「学校の行事とか、みんなに知ってもらいたい事とか?」 「やっぱそれがいいよね。後は前回の新聞の引き継ぎイラストコーナー作りたいけど……私描けないや」  なっちゃんが軽く息をついた。北さんとモトもうなずく。 「俺描けないけど、祐輔が上手いよ!」 「あ、たしかに。小田くん、学芸会の時小物上手かったよね」  ポンっと北さんが手を叩き、うんうん、となっちゃんが頷く。  ぽっと胸に灯りが灯った気がした。   「小田くん、お願いしてもいい?」 『ぼくで良ければ』 「やったー、これで決まりだね」  にっこりと北さんは微笑み、モトは「やったな」と小さく拍手した。  僕が大きな拍手が苦手、というのを考慮してくれたのだ。拍手に限らず、大きな音は僕を押しつぶす。それは、ママの怒声のように。 「発行頻度どうする?」 「うーん、週一くらいでいいんじゃない?」 「そだねー、二学期もそれくらいの頻度だったし」 「じゃあ、タイトル決めましょうか」 「前回なに新聞だっけ?」 「えっと……『速報! 二組新聞!』だね」 「うーんどうしようか……」  うーんとモトが首を傾げた。 「あっ、『二組ーず』はどう? 定期的にクラスでアンケート取ってさ、みんなに協力して貰ってみんなの新聞作るんだ! あっ、『ず』は複数形ね。」  モトの目は輝いていた。複数形、の意味がよくわからなかったがなんだかカッコイイ。 「いいじゃん」 『モトの意見いいと思う』 「私も賛成」   大体の概要が決まった少し後、話し合いの時間は終了し、各々席に戻った。  その後、早速プリント配布係が配ったお便りに軽く目を通した。  三学期は、大縄大会、子供会、避難訓練があるらしい。  学活が終了した後、先生が「小田くん」と声をかけてきた。
/86ページ

最初のコメントを投稿しよう!