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「じゃあ…光樹は本当に浮気してないんだね…?」
恐る恐る問えば、優しく目を細める光樹と目が合う。
「僕、そんな男に見えます?」
逆に聞き返してくる彼に、私は首を横に振った。
そんな私を見た光樹は満足気に笑ったかと思うと、ゆっくりと顔を近づけ、私の唇を奪った。
少しでも疑った自分に腹が立つ。
それでもこうして受け止めてくれる彼の優しさに、胸が熱くなる。
色んな感情が混ざって、今にも泣き出しそうで。
──────だけど、次に彼が放った言葉で、一気に現実に引き戻される。
「でも僕は、今回結構傷付きました」
「えっ…」
「美月に触れるの、怖くなった」
「……」
「浮気を疑われて、顔を見たくないって言われて、そして、これからも一緒にいられるのか不安だとも言われて…」
至近距離で見つめてくるその目は、どこか寂しげ。
揺れる瞳を見れば、本当に傷付いているのが分かる。
こうさせたのは私だ。
勝手にひとりで突っ走って、心無い言葉を浴びせて。
私、ほんと最低だ。
「光樹、ごめ…っ」
慌てて謝罪しようとすれば、悪い笑みを浮かべた光樹と視線が絡む。
「今日はもう、美月に触れない」
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