番外編 “夏”

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「僕の手、汚いし」 「え、待って違う…」 挑発的な目で見下ろしてくる彼に、背筋がぞくりと震えた。 私に汚い手で触るなと言われたことを根に持っているのか、彼は突然私から身体を離し、そのままごろんと仰向けに寝転がる。 たった今キスしてきたくせに、急に突き放すなんて。 仲直りして、甘い雰囲気になったと一瞬でも思ってしまったことを後悔した。 だって普通……このまま仲直りセックスするじゃん! 「光樹、ごめんって…」 「美月のこと凄く大事にしてきたつもりだったのに、全く伝わってなかったんだなぁ」 「ねぇ、話を聞いて…っ、」 「ほんとショック」 光樹はことごとく私をスルーすると、腕を目元に当てて私と目も合わせてくれなくなった。 新手のいじめかと思ったけど、実際先に傷付けたのは私だ。 どうにか許してもらおうと、光樹の上に跨り身体を揺さぶる。 それでも聞く耳を持たない彼を見ながら、私の頭の中はあることでいっぱいだった。 ─────マウントポジション、くっそムラムラする。
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