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「そろそろ付き合う気になった?」
「私彼氏作る気ないって言ってるじゃないですか」
「俺ら身体の相性抜群だと思うんだけど?」
「それは私も思います」
狭い室内での情事後、乱れた服装を整えていると彼は艶やかに笑いながら問いかける。
それをにこやかに交わす私を見て、彼はまた目を細めた。
本気か本気じゃないかも分からないその台詞に、最近聞き飽きていることにそろそろ気付いてほしい。
3月下旬、空調のない部屋は寒いはずなのに私と彼は薄らと汗ばんでいて、それでも制服の上からカーディガンの袖に腕を通した私は彼に背を向けてドアノブに手を掛けた。
しかし、背後に立った彼はそれを制するように私の手に自分の手を重ねて耳元でそっと囁く。
「他の男とヤれなくなるから?」
「それもありますし、そもそも結婚にも興味がないので彼氏を作るメリットがありません」
「結婚に興味がない、ねぇ…」
「子供も嫌いですしね」
ハッキリとそう言うと、彼は耳元でクスクスと笑うものだから少しくすぐったかった。
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