第八章:黄金の誘惑、恐怖のお宝ツアー!?

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①キャラメル工場見学 「まず最初は工場見学。思う存分キャラメルについての歴史を堪能してください」 連れてかれたのはプレハブ小屋(キャラメルパーク)内の手前にある小ぢんまりした部屋。 そこには、壁に立て掛けられた薄くペラペラな大きい紙と、それの対面にイスが数個置かれている。 「プロジェクターっていいましてね、ここに絵や音声が映し流れるんです。スゴいでしょう」 「おい工場見学って」 「このシアターでキャラメルができる工程を観られます」 「詐欺だろそれ! 工場見学じゃないだろ!」 「ささ、席に座って。シアター始まっちまいます」 大きな画面の前には簡易イスが三つ置いてある。 三つ並ぶ中央の席に一人男性客が我が物顔で陣どっている。先客か。 真ん中に座ってずれそうにない。 「自分立って観るので」 フィナンシェがスムーズに席を譲る。 「えー映像ぉ? 見るだけとか退屈ぅ」 先客男性客の両隣にそれぞれビターとメルトが座る。 中央席の後ろにフィナンシェが立って観る。 「なんで知らないおっさんサンドしてキャラメルの歴史見なきゃいけねーんだよ」 フィナンシェが真ん中の席の真後ろに立って見る。ビターたちに挟まれ男性客はオセロ状態。 「へい、ちょっと」 ツアーのおっさんが声をかける。 「この人常連さんなんで圧で押さないで、多目に見てやってくだせぇ」 「常連なのか……こんなところに」 つーかこのおっさんびくとも動かねぇな。俺たちが来たのにも気づいてないくらいの動じなさだぞ。 「ビターこのビデオ退屈~」 「上映中は静かにしろ」 確かにさっきから画面で流れるのはクソつまらん映像ばかり。キャラメルのキャラクターの絵(下手くそ)が延々とキャラメルについて語っている。 「もうすぐ終わるから。ほら、もうエンドロールが……出ないな」 三十分経過。 「長ぇ」 「まだあるの~?」 三十分経つとビターたちはうんざりしてきた。 『……ということでキャーメル村のキャラメルはこうして出来ているのです……』 小さくなるBGMと暗くなっていく画面にビターたちはいよいよだとイスから腰を浮かせる。 「あ、もう終わる予感がする!」 「あ~長かったー」 『第二章!! ~キャーメル村の歴史~』 「「ガーーン!!」」 「まだ席動かないでくださいね。シアターで一時間とってるんで」 なんと今まで見ていたのは第一章だった。 「第四章まで大人しく見ててください。どんでん返しがあるかもよ~」 「スイーツの歴史にどんでん返しなんかあるかよ……」 「(げっそり)」 「(わくわく)」 フィナンシェだけが夢中で画面に食いついていた。 第四章~これからのキャーメル~まで見せられた。 案の定どんでん返しなんてなかった。
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