「癒しのヒロイン」あなたは、何者?

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2、出勤  目覚まし時計が鳴った。  起床は六時と決めている。バスの時間は 7時10分だ。  焼1時間で、食事、身支度、トイレを済ます。  独り身なので、食事は自前だ。  トースト、ゆで卵、牛乳、野菜ジュース、ヨーグルトが定番だ。  御飯だと、おかずやみそ汁を用意したりで時間がかかる。  こんな時、結婚でもしていれば、食事の支度が整ったところで、奥さんが起こしてくれるのかな。 「あなた、時間よ」なんてね。  いやいや、今は男女平等であり、まして共稼ぎ夫婦なら、そんな事は遠い昔の話と言う事になる。    まあ、その前に相手を見つけなくてはならないか。  今まで、何人か好きな人はいたが、その先までは進まなかった。  何故だろう。自分が積極的でなかったからなのか。それとも、理想と違ったのか。それとも、縁がなかったのか。  おっと、朝からこんな事考えてる時間はない。バスに遅れてしまう。  いつもの様に、バタバタした1時間となったが、バスはセーフだった。  朝のバスは、決まった顔ぶれだ。話した事はないが、毎日の事なので知らずと覚えてしまう。 髪が寝ぐせのままのサラリーマン、朝から強めの厚塗りOL、コロンが鼻に着く男、いつも汗を拭いている小太りの男性、参考書とにらめっこの学生さん、胸の切れ込みがきわどいブラウスのお姉さんなどが代表的だ。  反対に、その人達からは、自分はどう観察されているのだろう。 朝だからそんな余裕もなく、ただ駅に着くまで、揺れに身を任せているだけなのかもしれない。  そうこうしているうちに、バスは駅に着き、乗っていた人は、足早に降りて、一目散に歩いて行く。 改札口を抜け、電車のホームに向かう。  入ってくる電車は、通勤快速で混雑している。 降りる人は少なく、乗り込む人が多いので押しながら、押されながら車内に入る。後は、我慢の時間帯となる。   目的の駅は7つ先だ。  ドアが開くたび押し出されるのがいやなので、中よりの位置を選ぶのだが あまり、中だと降車の時が苦労するので、頃合いを見てドア付近まで移動 する。  自分が降りる駅は、ビジネス街があるので、降車する人も多く、その流れに任せて押し出されるように集団の列に並ぶ。  まったく、仕事に着く前で、結構なエネルギーを消費してしまう。 まあ、車通勤だとしても、道路は渋滞するので、運転の労力とイライラを考えれば、ぼっとしていられる電車に文句は言えないのかも知れない。  会社は、ここから10分ほど歩いた所にある。 入社してから、8年間、同じルートで通っている。 この会社を辞めない限り、又は転勤しない限りこのルーティーンだ。  あ~あ、朝から、ちょとブルーな気分だ。
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