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「さすがリタ君! 昨日の私は、きっとこういうLOVEに飢えていたんだよ!」
昨日リタ君が私に貸してくれた文庫本は、『これぞ恋愛小説!』と銘打つに値する、とにかく甘い恋愛短編だった。
仕事を始めた恋人の洋ちゃんに構ってもらえなくて気分が落ちていた私を、キラキラの恋愛パワーで満たしてくれる程の、めちゃくちゃ甘いやつ。
「また『洋ちゃん』と喧嘩したんですか?」
「違う違う。また、とか言わないでよ。
洋ちゃんも仕事始まってさ、慣れるまではこっちにいてサポートしてあげようかなって思ってるのに。疲れてるのは分かるけどさ、もう少し感謝してくれてもいいと思うの」
「つまり、琴子偉いね、って洋ちゃんに褒められたいんですね?」
屈託なく茶化されて、私は憤慨したフリをする。でも悪い気はしない。知り合いもいないこの街で、私を名前で呼んで親しくしてくれるのは、恋人以外ではこのリタ君だけなのだ。
「だって、引っ越しの荷物もまだ片付いてないんだよ? 私が東京に帰ったら、洋ちゃん絶対困るもん」
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