第45話 カイル兄様にバレました

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第45話 カイル兄様にバレました

 過激派魔族の残党は、ルシフェルに任せて私は、サクヤを連れて、カイル兄様の元に向かった。  スノーとグレンは、魔国で走り回ったり、狩りをしたりする予定だったけど、ほとんどできずに帰ることになったので、魔の森で狩りをするということで別れた。  今夜の夕食が楽しみだ。どんな魔獣を狩ってきてくれるのかな。 「カイル兄様。お話があります。入ってもよろしいでしょうか?」 「いいよ。入っておいで」  許可が出たので、部屋の中に入った。 「アイリス。見たことがない男と一緒のようだが……彼はだれかな?」 「はい。彼は、勇者のサクヤです」 「勇者?」 「はい。三百年以上前に召喚され、異世界からやってきたそうです」 「魔王を倒すためにということなのだろうが、私はそんな話しを聞いたことがないし、勇者の伝承などものこっていないよ」  やっぱり、カイル兄様も知らなかったか。 「サクヤが勇者ということも勇者が召喚されたことも王族や一部の高位貴族しか知らないことだったそうです」  サクヤと話した内容を元にした私なりの見解をカイル兄様に説明した。 「なるほどな。それで伝承などが残っていないのか。  それで、サクヤさんを連れて、王城に行くということだな」   「その通りです」 「あとで、国王陛下に謁見したい旨があると手紙を送っておくよ」 「カイル兄様。ありがとうございます」  カイル兄様は、話が早くって助かりますね。 「アイリス、カイル、住人たちへの奴らの紹介は済んだぞ。  奴らは、畑や家、馬車、魔道具などを見て感動しておったぞ。  これなら、ここでうまくやっていけるだろう」  カイル兄様と話しているとルシフェルが戻ってきた。  そうか。うまくやっていけそうか。  それなら少しは安心だね。  まだ、何が起こるかわからないから慎重に対応して行かないとだけどね。 「彼らの家は、一ヶ所にまとめようと思うんだけど、大丈夫かな?」  不安があるので、別々より一つの建物で、暮らしてもらった方が何かあったときに対応しやすいから、マンションを建てよう。 「いいんじゃないか。今までも魔王城で、皆で生活していたわけだしな」 「部屋の広さとかどのくらいがいいのかな?  夫婦とか兄弟とか家族で一緒に暮らしたいとかあるのかな?」 「夫婦が三組いるが子供のいる夫婦はおらんな。  兄弟や姉妹同士の者もいるが、魔王城では、別々の部屋で暮らしていたはずだ。  夫婦は一緒で、兄弟、姉妹は別々でいいと思うぞ」  一人暮らしの者は一LDK、夫婦の者は、子供ができた時のことも考えて、三LDK位でいいかな。 「わかった。じゃあ、マンションっていう集合住宅を建てるからそこの管理人は、ルシフェルよろしくね」 「マンションってなんだ?」 「マンションは、一棟の建物内に複数の住戸が区画されていて、各区画がそれぞれ独立した住宅のことだよ。  各住戸部分の専用部分の他に、そこに住む住人が共同で使用する、エントランス、管理人室、共用廊下などの共用部とに分けられているんだよ」  私の代わりにサクヤが説明してくれた。 「なるほどな。ホテルみたいなものか。  それにしてもサクヤさんは、アイリスが言っていることがわかるようだし、詳しいな」 「僕は、前世のアイリスと同じ世界で生活していたからね」 「アイリス。前世のことを話したのか!!」 「はい。ルシフェルが勇者は、日本という国からこの世界に召喚された転移者だと聞いたので、私が日本で生きた前世の記憶を持つ転生者だとサクヤに話しました」 「そうなのか。サクヤさんと前世のアイリスは、同郷なのか。  あと、さっきから気になっていたのだが、アイリスは、サクヤさんに敬称をつけずに呼んでいるが、異世界のニホンという国では、年上の者に敬称をつけないのか?  それとも、まだ私にはなしていないことがあるのか?」 「「……」」  カイル兄様、流石に鋭い。心を読まれないようにしなければ…… 「アイリス。心を読まれないように気を付けようと考えているっていうことは、何か隠しているんだね」 「バカ!!アイリス」  ううぅ~。心を読まれないようにと考えていたことを読まれてしまった。 「僕は、前世のアイリスと結婚するばすだった婚約者だったんだよ。  同じ日に僕は、この国に召喚されて、アイリスは、殺害されて、この世界に転生したから、結婚することは叶わなかったけどね」 「!!……こ……ん……や……くぅ……しゃ……!!けっ……こ……ん」  カイル兄様が大きな口を開けたり、閉めたりを繰り返しながら何か呟きながら驚いています。  口をパクパクして、鯉みたいですよ。 「ああ、カイルが衝撃過ぎて、壊れてしまったな」 「カイル兄様は、口をパクパクして鯉みたいですね」 「こ……い……!!アイリスは、サクヤさんに恋をしたのか!!前世で婚約者だったのだから当然か……」  カイル兄様、恋ではなく鯉ですよ。 「バタンッ!!」 「カイル兄様。どうされたのですか?大丈夫ですか?」  カイル兄様が突然倒れた。 「ショックで、精神が持たずに気を失ったか」  私の前世でのことであり、今世でサクヤと結婚する以前に……再会したばかりだし、恋人同士でもないのに……ショックを受けて気を失うなんて……  なかなか目を覚まさないので、執事のセバスさんと専属騎士のトマスさんを呼んで、カイル兄様を寝室のベッドに運んでもらった。
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