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第50話 様子を見に行こう①
王城に行ってから二週間が経った。
今、私はベッドに横になって、ボーッとしている。
二週間前の王城から屋敷に戻ってからのことを思い出す。
屋敷では、昼食の最中で予想通り昼食は、カレーだった。
あれだけ食べたのにルシフェルとスノーは食べたいと言い出したので、王城で出したカレーの残りを無限収納から出して提供した。
回想から現実に戻り、私は起き上がり、出掛けることにした。
「カイル兄様、ファミーユに来てから、それなりに日数経ちましたし、魔族たちの様子を見に行ってきます」
「一人で行くのか?」
「スノーとグレンも連れていきますよ」
「なら安心だな」
「おはよう。レベッカ」
「おはよう。サクヤ」
「何処かに出掛けるのかい?」
「魔族たちの様子を見に行ってくるんだよ」
「そうなのか。僕も一緒に行きたいけど、仕事があるからな」
サクヤの仕事は、カイル兄様の当主としての仕事の手伝いをしている。
「じゃあ、いってきます」
「「いってらっしゃい」」
魔族たちが住むマンションに行くと管理人を任せたルシフェルがいた。
「ルシフェル、魔族のみんなの様子はどう?」
「みんな、各部屋に設置されている便利な魔道具に感動していたよ。
特に夫婦の魔族の嫁さんの方は、広いキッチン周りや洗濯機にな」
「それは、よかった。家は、一日で一番長くいる場所だからね。快適な暮らしができるのが一番だよ。
仕事とかはどうなのかな?」
「ここで収穫された野菜の美味しさに感動して、住民に教わりながら皆、畑仕事に精を出しているぞ。今は、まだギルドの支部ができてないから、冒険者になりたい者も畑仕事をしている」
「そうなんだ。他にやりたいって言っている仕事とかないの?」
「エルフ族でもいたが、魔道具屋をやりたいという者がいたな」
「そっか。じゃあ、区画整理の時にお店建てちゃおう」
「普通は、自分で金出して建てるんじゃないのか?
それに大工の仕事を奪ってしまっているのではないか?」
「まあ、そうなんだけどね。
人族の国に来て、お金も貯まっていないだろうし、大工の仕事の方も家を作る材料も違うし、ファミーユの町だからいいかなって思っているよ。
それに時間かかっちゃうだろうからさ」
前世でもビル一つ建てるのに何ヵ月もかかっていたからね。
町全体となる何年かかるかわからない。
この世界では、魔法があると言っても建物を建てるのは、ほとんど手作業になるらしいし、それだけ仕事を請け負う人員を集めると他に支障が出ちゃうじゃん。
「今日の夕食は、ステーキらしいからいっぱい食べてって、ゾイルさんが言ってたよ」
「おおそれは楽しみだ」
ルシフェルは、料理出来ないというかする気がないので、朝食と夕食は、うちの屋敷に食べに来て、昼食は、朝食が済み帰るときにサンドイッチとか軽食を昼食用に作ってもらって、管理人室で食べている。
今夜のステーキは、スノーとグレンと冒険者になりたい者たちが狩ってきてくれたので、いいお肉がたくさんあるから、ルシフェルやスノーがお腹いっぱい食べても足りるくらいらしい。
みんな自分達や町の住民の分を除いて、屋敷に届けてくれたけど、どんだけ狩ってきたんだ。
それに、それだけ狩っているのに魔獣がいなくならないって……ルシフェルは、普通の森と変わらないと言っていたが、絶対に魔の森は普通の森と違うよ。
「じゃあ、またあとでね」
「ああ」
ルシフェルと別れ、畑仕事をしている魔族の様子を見に畑の方に向かった。
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