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【序章】第1話 疎まれている理由
スクラルド王国の筆頭公爵家の次女として生を受けたアイリス・フォン・アリステラは、銀髪に紫と深紅のオッドアイという容姿のため、優しく接してくれるのは次期当主である年の離れた兄と兄がつけてくれたアイリスの専属メイドとアイリスに拾われ恩義のある専属騎士だけだった。
血の繋がった家族からも使用人からもアイリスは疎まれていたからだ。
「煩いぞ、アリスお前は専属メイドなのだから、そいつを静かにさせるか部屋へ連れていけ」
「本当ですよ、イルムと私から生まれたのにそんな容姿で生まれてくるなんて最悪ですわ」
「なら王家や他の公爵家では、喜ばれるみたいですから養子に出してしまってはどうですか」
「ついでに、その専属メイドと専属騎士もつけてやればいい」
「そうだな、王城に獣人がいるのは王国の恥になりますから王家には出すのはダメですが、他の公爵家になら養子にした家の汚点になりますから蹴落とすのに丁度いいのでありかもしれませんわね」
「そうなんだが、この容姿だから万が一稀少なスキルを持っていたらその家の力が強くなってしまうかもしれんからな」
「では、専属メイドのアリスと獣人の専属騎士はクビにして忌み子は魔の森に捨ててくるとかどうですかね」
泣いているアイリスや専属メイドのアリスに向けて、当主と夫人に使用人までもが好き勝手に言っている。
「かしこまりました」
当主が叩いて痛かったから泣いたのだろうとアリスは苛立ちを感じていたが当主に逆らうわけにもいかないのでアイリスを部屋に連れていった。
王家や王家の血を濃く受け継ぐ公爵家では、稀少なスキルや膨大な魔力持ちだったりと名君や歴史に名を残す者が生まれてくることがあり、そういう者たちは伝承にある神と同じ髪は銀髪、眼は紫と深紅のオッドアイであるかどちらかを持っているか又は色が違うがオッドアイで生まれてくる。
なので、王家や公爵家ではそのような容姿の子供が生まれると喜ばれ大切にされるのだが筆頭公爵家であるアリステラ公爵家では違う。
アリステラ公爵家では、以前は王家や他の公爵家同様、生まれてくると喜んでいた。
大切に育ててきたがある時、アイリスと同じ容姿の子が生まれたのだが、公爵家の子なのに全く魔力を持たず、ならばと稀少なスキルに期待したがスキルも持っていないことが判明した。
無能と判明した数年後に魔の森に接していて城壁もないのに今まで一度もなかった魔の森からたくさんの魔物が出て来るという事件が起きた。
そして公爵家を襲い、屋敷内にいた当時の当主、第二夫人、次の当主となった第二夫人との子を除く、第一夫人と第一夫人の子で次期当主となるはずだった子、無能と判明した子や使用人を殺して魔物は魔の森に戻っていった。
同じことが起こることを恐れた当主たちは、領民を捨て王都に逃げ、当主からの報告を聞いた当時の国王は魔の森とアリステラ領の境に城壁を造らせた。
当主たちは、元の屋敷には戻らずに領地内の王都から程近い場所に新たに屋敷を建てた。
それが、今のアリステラ公爵家の屋敷である。
そして、魔物が魔の森から出て来たのも襲われ第一夫人と次期当主になるはずっだった大事な子、第一夫人たちといた使用人たちが死んだのも無能と判明した子の所為だと、当時の当主は、考えたのだ。
その後、アリステラ公爵家では、銀髪で紫と深紅のオッドアイの子は忌み子とされるようになったのである。
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