名もなき神々は売名を

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 即刻、人という種族が生まれる前から存在している神々の元へ行き、『神』の身に起きていること、神社に誰も来ない原因を聞いた。それは驚くべき理由で、さらに対処方法がないという。  慌てる神様に、古い神は残酷な言葉を告げた。 「名のある我々には関係のないことよ。精々最期まで尽くすと良い」  神様は絶望した。事実を『神』に言うのは憚られた。  ぐらりと世界が揺れる感覚が起き、正気を保つようにブンブンと首を振る。  ──信じられん!  神様は告げられた事実を否定するように、担当している神社に舞い降りた。神様の降臨を見た人々はワッと歓声を上げて「ありがたや~ありがたや~」と、手を擦り合わせて拝み倒す。  老若男女、様々な年代の人間が神様を敬う。その光景を見てホッとしたが、数十年前の賑わいと比べると、人数が減っていることに初めて気づいた。『神』からのお願いと、古い神たちの話を聞いていなかったら、その事実に気づくことはなかっただろう。  神様はこれから襲いかかる【消滅】に身を震わせた。恐怖という感情がこんなにも怖いなんて──。
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