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名もなき神々は売名を
「神様、神様、お願いします。わたくしの願いを聞いてくださいませ」
神様は困った顔で眼下の『神』を見つめた。
「神様というが……お主も『神』の一人じゃろう? そもそも我らは同時期に誕生したのだから、力に差はないじゃないか」
「それは、まあ、そうですけど……わたくし一人では無理なのです!」
お願いします、お願いしますとうわ言のように言い続ける『神』に、神様は呆れたようにため息をついた。
このまま居座られては困る。人間の願いを叶えるためのお手伝いをするのが、神様である自分の仕事なのだから、この『神』には早々に帰ってもらわねばならない。
「……聞くだけ聞こう」
「ありがとうございます! ありがとうございます!」
とりあえず解決策を提案すれば帰るだろう。
このとき、神様は大した内容ではないだろうと考えていた。
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