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捜査本部の講堂には百人以上の捜査員が集まっていた。
都県をまたいだ連続強盗殺人事件に発展したため、合同捜査本部へと形を変えた。
あれから、さらにもう二件が発生していたのだ。
「これで六件目か……くそったれ」
捜査会議が終わると、矢岡は乱暴につぶやいた。
「東京の新小岩、小岩から、千葉の市川へと続いてますね。犯人はこの辺りに土地勘のある人物でしょうか」
亮太は捜査資料に目を落としながらいった。
「おそらくな」
矢岡は腕を組み、天井にあごを向ける。
「ただ、どうしても沖野洋祐の件だけは引っ掛かる」
「どっ……どうして……それにこだわるんです」
亮太は息が乱れそうになるのをぐっと抑えた。
「他のガイシャ(被害者)は皆、六十代以上の高齢者だ。しかし、沖野洋祐はまだ29歳。何かおかしい」
矢岡の双眼が亮太に向けられた。
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