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「たまたまだと思いますがね……」
脈拍が上がっていくのが分かる。亮太は乾いた唇を舌で潤した。
「お前、オレの推理にいちいちケチをつけてくれるんだな」
矢岡の野太い声に背筋が凍った。
「いえっ、そういうわけじゃ」
「お前まさか沖野洋祐と知り合いなのか」
「……まさか」
微妙な間を置いて、かろうじて答えた。
矢岡の眼球が亮太の脳天を突き刺す。
「だろうな」
唇の端を歪ませると、矢岡は講堂を出ていった。
亮太の額から大量の汗が溢れ出してきた。
――矢岡は何か気づいているのか?
亮太は額の汗を手の甲で拭うと、大きく呼吸をした。
そして数日後――
連続強盗殺人事件の犯人が捕まった。
犯人の名前に、亮太は絶句した。
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