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「カハハハ。久々だな、亮太くん。元気そうで何よりだ。ハハハハ」
沼井は下品な笑いを響かせた。
「沖野洋祐の殺害をなぜ認めた」
「なに怖い顔してんだよ。もう事件は解決してるんだし、別にいいじゃねえか」
そこまで言うと、沼井は話を終わらせるように天井を見上げた。
しかし、その目には黒い企みが宿っていく。
悪い表情を浮かべると、沼井は話を続けた。
「――まあでも、同級生のよしみだ、お前だけに教えてやるか。どうせオレの死刑は変わんないしな。実はよ……取引をしたんだよ」
「取引だ?」
よっこらしょ、っと。
沼井はその場であぐらをかいて話し始めた。
「連続強盗殺人事件の重要参考人になったオレは警察から毎日取り調べを受けた。しかし、一件だけ、オレの関わってない事件があったんだ。不思議に思ったオレは、その沖野ってやつの家に行ったんだ。まだ身柄を拘束される前だったからな。すると、どうだ。くく……」
沼井は肩を揺らした。
「……くくく……懐かしい高校時代のアイドルが玄関から出てくるじゃねーか。溝倉杏菜。昔よりも美人になってて驚いたぜ」
まるで落語家のように大袈裟な手ぶり身ぶりで話を続ける。
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