no.10

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no.10

一美は、自分の精液を勇紀に飲まれ、嬉しいような、恥ずかしいような気分でいっぱいだった。 だが、一美はアナルを舐められた時点で、禁断の挿入行為を受入れる心つもりはあったのに、勇紀は、それを、寸前で止めてしまった。「えっ。。」 肩透かしを喰らい残念ではあったが、そのかわり、今、一美は、ベッドで勇紀にきつく抱きしめられていた・・・ 勇紀の細くて長い指は一美の柔らかい髪をとかし、時折り、唇はおでこにそっと触れる。温かくて、優しくて、一美は、この出逢ったばかりの男の腕でとろけそうになる。 「なんで、最後まで、してくれなかったんですか。。。」 一美が少しいじけるようにわけを聞くと、勇紀の掠れた声が耳元で囁く。 「大事にしたいと思ってる。」 人と人は出逢い、交差し、自分を見つける。 ぶっ壊し、たどり着いて、生まれるものがある。 過去の醜い経験は、いずれ、出逢う本物のための手痛い通過点となるだろう。 「うん。それなら、良かった。安心しました。」 一美は、ようやく、心の棲みかを見つけた。産まれ育った遠く離れたこの場所で。 もう、何も怖くない。蝶は蛇の背に舞い降りた。 fin.
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