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no.1
「レイラちゃん、ご指名入りました。」
「あら、社長、お久しぶりで~す。」
若者やファミリー層で賑わう横浜駅のメイン側ではない方、裏街道沿いの雑多な繁華街は、今宵も、色艶を欲した大人達の社交場と化していた。
木村勇紀は、この界隈にある数店舗のキャバクラの取締まり役として、店の運営状況や、悪質な客はいないか、監視を兼ね、時折、それぞれの店へ顔をだしていた
首から背中にかけてのスネークのタトゥーは彼のトレードマークであり、30近くの年齢になった現在は、背中に立派な龍の彫りも背負い、凄みを増していた。
十代の頃は、若気のいたりで、耳や、舌などにピアスを施していたが、もう、粋がったような振舞いは、ある程度、貫録の沁みこんだ勇紀には、そぐわなくなっていた。
今となっては、見えぬところで、魅せる男の主張は、彫りと陰茎に埋めた真珠のみ・・・
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