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【04】
マウンドが少しだけ明るく感じた。
秀介は円谷先輩のサインを見る。
あの試合でエースに復帰できた。
どんな打球も怖くない。
その勇気の源はもう一つあった。
秀介は観客席に目を向ける。
そこでは
私服姿のまりあが退屈そうに試合を眺めている。
敢えて順序を崩して胸を十字に切ったところ
「あっかんべー」をされてしまった。
神を信じてはいない。
しかし、あの日まりあからもらった
“勇気”は決して気のせいでは無かった。
その事を彼女に伝えたら何と言うだろう。
秀介はスッと息を吐き、セットポジションに入る。
そしてキャッチャーミットへと白球を投げ込んだ。
微塵も震えていない、この右手で。
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