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そして勢いよく“仮面”が剥がされる。
まりあ。
「な、何で…」
「間に合った…」
目が合うと彼女は笑顔になった。
二人の視線が絡み合う。
そこで秀介はニヤリと笑ってから胸の前を十字で切る。
正しい順序で。
まりあは目を見開いた。
秀介は視線を打者へ戻した。
もう、震えはない。
「ストライーック!」
今までで一番良い球が走った。
これには流石の主砲も目を見開く。
9回裏スリーボール、ツーストライク。
その場にいる全員が息を飲む。
見ると、まりあは両手を胸の前で組みながら
ぶつぶつと何か呟いていた。
お祈り。
何の意味もない、そう馬鹿にしていた筈なのに
どうしてこんなに頼もしく見えるのだろう。
どうして力が湧いてくるのだろう。
秀介はゆっくりと息を吐き切り、振りかぶる。
コントロール、スピード、切れ
全てが完璧に揃った一球が手から放たれた。
しかし相手のバットが無情にも振り下ろされる。
物凄い打球音がグラウンドに響いた。
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