Chapter.1

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それはピッチャーライナーとなって飛んでくる。 その時、自分の顔のすぐ横で 「パーンッ」という鋭い音が鳴り響いた。 その場の空気が一瞬止まる。 秀介は恐る恐る自分のミットを見た。 「と、取った…」 アンパイアが拳を空へ掲げた。 「スリーアウツッ!ゲームセッ!」 チームメイト達が駆け寄ってきた。 皆に頭を叩かれる。 「やったな、秀介!」 特に円谷先輩からのが痛かった。 秀介は皆から離れると観客席へ走る。 そして息を切らしながらまりあの前に立った。 「よお、ミサはどうしたんだよ」 「さあ? マウンドで鳴いてる仔羊ちゃんがメェメェうるさくて」 二人は笑顔を見せた。 その時アンパイアから整列を促される。 秀介たちは ホームベースの前に並び、帽子を脱いで礼をする。 「気をつけ!ありがとうございましたッー!!」 「ありがとうございましたッー!!」 こうして秀介のイップスは終わりを告げた。
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