Chapter.1

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秀介はもう一度投げる。 「ファーボール!」 ランナーが進んでしまい一塁二塁。 こちらがリードしているものの点差はたった1点だ、 少しの弾みで逆転されてしまう。 そして次のバッターが来た。 4番、チーム内最強の主砲。 秀介は思い切りボールを投げる。 しかし… 「ボール!」 クソッ! 臆病な右手はまだ震えている。 次もストライクゾーンから外れた所に球が走った。 ボールツー。 その時、キャッチャーの円谷[つぶらや]先輩が 「タイム!」と叫び駆け寄ってきた。 先輩はマスクを外すとグローブを口に当てて喋る。 「大丈夫か?」 「…もしオレが下がったら次は?」 「…白石[しらいし]だ」 ダメだ、 繊細過ぎる白石にこの状況は任せられない。   先輩が言う。 「お前、イップスなんだろ?」 「…………」 「気にせず投げろ。オレが拾ってやる」 そして秀介の返答も待たずに持ち場へ戻り アンパイアとバッターに礼をしてからしゃがむ。 試合再開。
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