05 「命をかけた責任追及」

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 口が震えた。目頭が熱くなる。目を伏せる。胸でつぶやく。  ──うん。    私が──教授の代わりをしていると告げると、「がんばれ」ではなく「がんばるな」といってくれた薫さん。  がんばりすぎても誰も褒めてくれない。がんばれなくなったときに、どうしてがんばれないんだと(なじ)られるくらいだ。そういってくれた薫さん。  その薫さんがなごみさんに「出ていきなさい」といわれたら、自分に落ち度があったかと、きっと悩む。外に出たことで自分の周りの誰かを傷つけるんじゃないか。それくらいなら、ってきっと思う。  ──自分なんかいないほうがベストだ、って。  それくらい彼は、優しい。    なごみさんが潤んだ視線を私へ向けていた。 「ここへ来てくれたのが、あなたでよかった」  はっとして顔をあげる。  吸い込まれそうに透きとおった、なごみさんの瞳。なごみさんがどんな思いでずっと薫さんをここで(かくま)っていたか。それを思うと胸が熱くなって。痛くなって。叫びだしそうになって。  私はしっかりとなごみさんの目を見つめる。  それから力強く、うなずいた。
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