神様のご褒美

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 できないならさせてやればいい。ようは距離を近づけたいのかと解釈した。何がなんでも壁ドンというわけではなさそうだと、カワジの反応を思って言い切ってやった。 「ん? んん〜。そうなのかなぁ。そっか」  首を傾げたカワジはそういうと、小さな手を伸ばして大和の頬に触れるとにっこりと笑った。 「うん。これでいい!! ありがとう。大和」  そして、ぽんぽんと頭を叩かれる。一体、自分は何をしているんだかと思いながらも、そんなに嫌ではないなと考える。 「うっはぁ。やるではないか眼鏡野獣」 「だから、眼鏡野獣じゃないって」  座敷童子は可憐な姿に似合わず、ぐいっと親指を立てる。この座敷童子は、初めて出会った時に眼鏡野獣と自分を指してカワジが言ったのを切っ掛けに、ずいぶん適当な解釈を披露していた。 そしてこの妖を姐さまと心酔しているカワジは、明らかにこの座敷童子の放つ人間の情報に惑わされていると思われた。  今まで関わろうとしなかったため知らなかったが、妖の世界もずいぶん愉快なようだ。  大和はそっとカワジを下ろすと、荷物をとった。 彼女がこちらに向かってくるのが見え、小さく「じゃあな」と声をかけるとカワジは満面の笑みで手を振る。  すっかり満足したようだ。単純。素直。そして、イラっともするが可愛らしい。  ……変わった妖だな。  そう思い、店をあとにした大和は自分で気付かぬまま口元を緩めた。
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