神様のご褒美

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「コンっ!!」 「やあ、カワジ。公納堂(くのうどう)町の座敷童子のところに行くのだろう? 一緒に行ってもいいかい?」 「もちろん。コンも一緒だととっても嬉しい。この間の春日大社の帰りに食べたチョコケーキ美味しかったねぇ。今日もデザートを食べたいなぁ」 「食欲の秋だからね。ただ、カワジは年中だけど」 「いいんだもん。季節によって美味しいものは変わるから飽きることはないよぉ。むしろ、食べないとか無理だもん」  すぐ左上手には興福寺(こうふくじ)があり、南円堂(なんえんどう)へと続く階段を通り過ぎ、猿沢池へと向かう。猿沢池を覗くようにしてある植桜楓之碑(しょくおうふうのひ)の前で立ち止まると、ぴょこんとカワジは頭を下げた。  階段を降りると、猿沢池の中に五重塔と緑と紅葉した木々が映るのが見える。水面に映る歴史ある建造物を見るのもカワジは好きだ。  山中ではないのに鹿はあちこちにいる。人と鹿とこの土地、古くからある建物に囲まれて、自然に囲まれてゆっくり時間が流れる。  しばらく歩くと、目的の場所、築百年以上前の古民家を改装したというカフェ。 相変わらず今日も座敷もテーブル席も、人で満杯だ。なんでこんなに人がいつも多いのか聞いたところ、何でも雑誌やネットに載っていてわざわざ足を延ばしに来る人も多いそうだ。  勝手に店の奥にある階段を登ると、華やかな赤と白に色とりどりの色が散りばめられた綺麗な着物を着た少女がちょこんと座り出迎えた。  カワジが「姐さま〜」と嬉々として声を上げると、さらさらの髪を腰までおろし、小さく形のよい口から凛とした声が(つむ)がれる。
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