神様のご褒美

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「カワジ、よう来たな。それにコン。久しいの」 「ええ。変わりないようで」 「見ての通り充実している」  ころころと座敷童子の姐さまは笑いながら、円の形を切ったら鹿の角みたいになるバームクーヘンをカワジに差し出した。 とてとてと誘われるまま姐さまのもとへと行き、カワジはあぁ〜んと口を開ける。  ついっと入れられたそれは外はさっくりと中はしっとり。地産の生みたて卵と純粋蜂蜜を使った奈良愛を感じる洋菓子だ。 「えへへぇ。おいしぃ〜」 「なるほど。そうやって餌付けされているのだな」  コンがふむっと納得顔で頷き、座敷童子は眼差しを緩めまたころころと笑った。 「ほんに、カワジは可愛いからのぉ。ついついあげたくなる」  白く細い手が伸びて、頭を撫でられカワジはますます頬を緩めた。ほんわかと匂う白檀(びゃくだん)の香りが鼻をくすぐる。 後ろから同じように大人の手が伸びてきて、頬張りすぎてぷっくり膨れる反対の頬を突きながらコンはくすりと笑みを浮かべた。 「一緒に食事をするのは楽しいからね。それよりも春日大明神様の話は聞いた?」 「何やら面白いことになっておるのぉ」 「ええ。そろそろではないかと思って付いてきた」 「ほぉ。妾も朝からそのような気がしてたのだ」
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