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「うっ、苦しいぃ」
耳元までドキドキが広がるようだ。
──もし、今日だったらどうしよう……。
待ち遠しかったのに、いざとなったらわたわたと落ち着かない。
その様子を見ていた座敷童子がこぶしをぐっと作り、魂の叫びとばかりに力一杯叫んだ。
「さあ、カワジ。美味しいとキュンが待っている。行こうかの」
カワジは姐さまの美味しいとの言葉にはっとして口元をゆるっと綻ばせ、キュンの現象を思い出し青ざめた。
「あ、姐さま〜。カワジはなんだか苦しくて動けなさそう」
「何を言う。願ったのはカワジだろう。なら、頑張らなくてどうする?」
「そ、それはそうなんだけど。姐さまの言うキュンは恐ろしかったんだもの。それに失敗したらと思うとど、ど、ど、動悸がぁ」
「大丈夫。妾がついている」
「そうだよ。我も一緒にいくから、ね」
ほほっと笑みを浮かべ口元に手をやり謎に自信を見せる座敷童子に、ぽんぽんと宥めるようにカワジの頭を叩くコン。
「う、う、う、うぅぅ〜。あっ、いい匂い〜」
「お腹が空いてくるよねぇ」
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