神様のご褒美

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「これがか?」  これはどう好意的に見ても、壁ドンには見えない。むしろ……、その言葉の続きは座敷童子が代弁してくれた。 「そうだのぉ。確かにカワジの手は壁についてるが、それではただ足にまとわりついてるだけにしか見えんの」 「壁に近づけたのに?」 「これではキュンが程遠い。顔を近づけてなんぼだと書いてあったがの。あと、耳元で囁きもあると良いのぉ」  己の要望もしっかり入れて、座敷童子が面白そうに告げる。ここの座敷童子はえらく適当に情報を開示するので困ったものだ。  素直なカワジは「あっ、そうか。前はぐわってきたもんね。ぐわぁって、じゃあ……」と考えるようにじぃっと大和を見つめて、ぱっと妙案を思いついたとばかりに顔を輝かせた。 「大和、かがんで」 「嫌だ」  今は付き合っている彼女が席を外しているとはいえ、長時間一人で喋っているみたいなこれは困る。普通の人から見たら完全に不審者だ。 大和はさっさと話を終わらせようとにべもなくさくっと断ると、ふにゅぅっと拗ねたように妖は眉根を下げた。 「だって、だって、したいんだもん」 「だから、なんで?」 「だって、この間とっても怖かったんだよぉ。ぐわぁって、ぐわぁって」
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