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12月23日 18:35 曇り 気温4度
明日はいよいよクリスマスイブ、街はすっかりクリスマスデコレーションで賑わっている。手をつなぐ親子、腕を組むカップル、ベビーカーを押すお母さん、みんな笑顔で楽しそう。
そして……私がここにいるのもあと一日。
この幸せな情景を見れるのも明日まで。
せめて、あの人にもう一度会いたかった。最後のお別れがしたかった。
「あの……」
はっ! また自分の世界に没入していた、しっかりしなきゃ、お仕事お仕事。
カメラの個人認識システムが捉えたその人は……
「トモルくん!」
「久しぶり、今日は用事があって寄ったんだ」
「どうしていたんですか? 当分いらしていませんでしたけど」
「うん、友人のことで色々あって……それで彼女をなんとか元気づけてあげたいと思って」
「彼女……?」
「発達性白内障で、目の見えない人がいるんだ。手術を受ければ、なんとか回復するかもしれないんだけど、まだ決心がついていない。それで明日プレゼントを渡して、励ましてあげようと思っている」
「アルバイトはそのために?」
「そうなんだ、それで今日はその買い物に来たんだ。相談に乗ってくれる?」
「なぜ私に?」
何を言っているの、それが私のお仕事でしょ?
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