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「今が転機です! ここはオシャレして『心機一転』しましょう。あなたにお似合いのオレンジコートが二階の『婦人服フロア』にありますよ」
私はコートの写真を見せた。
「ちょっと若すぎないかしら? これ着る自信ないわ……」
「そんなことないですよ? 今から私が『マジック』をかけます、見ててください」
私は魔法の杖を取り出すと、おば様の前でクルクルと回して振った。
3Dカメラでおば様のボディをスキャン、立体モデルにコートのスキンをマッピング。
「それぇ!」
たくさんの星がパアッと輝く演出をした後に、オレンジコートを着たおば様の姿をクルリと画面の中で回転させてみせた。
「あら! すごい! いい感じねぇ」
「お似合いでしょ?」
「そおねぇ、いいかもしれないわ。これにしてみようかしら」
「二階の『婦人服フロア』に在庫がありますので、ぜひ寄ってみてくださいね」
「うん、色々ありがとう。あの……あなたのお名前は?」
「私ですか? 私の名前は『トーコ』です。困った時はいつでも声をかけてくださいね?」
「トーコちゃん、それじゃまたね」
おば様は元気を取り戻し、手を振りながら、デパートの入口に向かっていった。
私はトーコ、
立体ホログラムディスプレイのガラスの箱の中で、
みんなの幸せをお手伝いするのが、
私のお仕事
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