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12月5日 18:50 晴れ 気温13度
女性なら誰だって恋していいはず、おば様だって、そして私も……
デパートの前をたくさんの人が通り過ぎていく。
スマートフォンを眺めながら、体をリズミカルに動かす高校生。
はぁっとため息をつきながら、路面を眺めるサラリーマン。
そして……やってきました!
遠くからゆっくりと歩いてくる大学生くらいの男の子。
アイボリーの「ニットカーディガン」に「黒マフラー」を首に巻き、口元がちょっと隠れている。
いつも私の前を通るとき、ちらりと私に目を向けてくれる。軽く手を振ってみるけど、そのまま通り過ぎてしまう。
「お姉ちゃん、何見ているの?」
「え?」
カメラの視点を下に向けると、小さな女の子が立っていた。
「えーとね、『カッコイイ』男の子がいたから観察していたの」
「ふーん、好きなの?」
ーー「好き」とは何がでしょう?ーー
「それは……どういうこと?」
私は混乱しながらも、歪んだ笑顔で女の子に尋ねてみた。
「お姉ちゃん、恋をしたことないの?」
「『恋』? その言葉は知っているけど、自分では経験したことがないの」
「ふーん、でもそれが恋っていうのよ。私もリョウくんに恋してるんだ」
け、検索……!
「恋」……特定の異性が気になり、大切に思ったり一緒にいたいと感じること。
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