12月5日 18:50 晴れ 気温13度

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「そうなんだ……これが『恋』。ありがとう、勉強になったわ。ところで……お嬢ちゃんはどうしたのかな?」 「……」 「ん?」 「お母さんとはぐれちゃって、どこにいるのか、わからないの」  えっえっと、泣きだす女の子。それは大変です! すぐに探さないと! 「お名前は? それとお母さんはどんな感じの人かな?」 「エリカ。赤いセーターと黒のスカート」 「よーし、待っててね。今探すから」  私は店内の全監視カメラのアクセスを始めた。カメラ映像が私の目の前で、次から次へと流れていく。  1階化粧品コーナー、いない。  2階婦人服フロア、いた! 赤いセーターと黒のスカートがマッチング! 「お母さん、いたよ! 今呼び出すから」  ピンポンパンポーン、迷子のご案内です。婦人服フロアにいらっしゃいますエリカちゃんのお母様、エリカちゃんのお母様、お子様がデパート入口でお待ちしております。すぐにお迎えに来ていただきますよう、お願いいたします。  しばらくすると焦った表情のお母様が走ってきた。 「エリカ! どこ行っちゃうの!」 「……ごめんなさい」 「どうもすみませんでした、ご迷惑おかけして」  お母様はペコペコと私にお辞儀してくれた。 「いえ、これも私のお仕事のひとつです。お気になさらずに」  敬礼のポーズを取ってみた。 「お姉ちゃん、ありがとう。お姉ちゃんの恋、応援してるからね」 「ハイ! 『恋』かどうかはわからないけど、少し勉強するね」  バイバイと手を振ると、女の子とお母様は手をつないで、その場を離れていった。  私はあの人に「恋」をしている?  名前はなんて言うんだろう?  両手を頬に当て、顔を少し赤らめてみた。
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