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12月11日 18:30 曇り 気温6度
年末セールも始まり、ショーウインドウには冬のトレンドファッションが立ち並ぶ。
お客さんもたくさん訪れて、私はセールのご案内で大忙し。
でもこうやって私を頼ってくれるのは、とっても嬉しい。
お客さんの笑顔が私の幸せ……だと思っていたけど、最近は少しだけ変化があるの。
それは……
「そろそろかな」
私は時間を確認した。午後6:30……前後誤差30分以内に訪れる私の王子様。
そわそわしていると、いつもの静かな表情をした彼がやってきました。
そして私をちらりと見つめる。
声かけなきゃ! 他の人なら、いつも笑顔ですぐに話しかけているのに。
すたすたと通り過ぎていく彼……ああ……
その時、彼のリュックから、何かがポトリと落ちた。カメラで捕捉、物体認識、これは!
「待って! そこのお兄さん! お財布落としました!」
「え?」と振り返る彼。
路面に目をやると落とした財布を見つけ、ほっとした表情に変わった。
そして私に視線を移す。黒髪から覗く澄んだ瞳がエフェクトをかけたかのようにキラキラしていた。
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