序章

2/2
前へ
/5ページ
次へ
一方その頃... 大座敷に4人の男が円の形で向かい合う姿がそこにあった。夕日が指す縁側は少し寒そうである。 「あ゙ぁ゙〜づがれだ〜」 「ほんま、年頃の息子ってどう扱ったらええんや?」 「そんなこと私たちに言わないでくださいよ」 「うーん、正直僕はもういいんじゃないかなって思うよ」 「「「え?」」」 「子供たちの好きにさせて、組とか考えず伸び伸びと育って欲しいし。それに、本当はあんな課題出さなくても多分あの子たちは上手くやっていける」 「てっ言うが、課題出したのはあんただろ?二郎よう」 「ふふっ、そうだね」 微笑み何か考えているのであろう、この人は陽翔の父であり「楓幽(ふうゆう)組」組長である楓 二郎(かえで じろう)だ。 「お前は頭は切れるし博識だが考えてることがわからんから、そういうとこが好かん」 褒めて貶すこの人は、京介の父であり「桜爛(おうらん)組」組長である桜 玄武(さくら げんむ)だ。 「褒め言葉だよ」 「褒めてはないとおもうんですけどねぇ、はぁ〜」 ため息を吐くこの人は、大智の父であり「朧柊(ろうしゅう)組」組長である柊 修造(ひいらぎ しゅうぞう)だ。 「そんなため息着くなって!酒でも飲めよ」 と酒を勧めてくるこの人は、良の父であり「蘭貂(かてん)組」組長である蘭 庄寺(あららぎ しょうじ)。 ここにいる人達は日本が誇る四大極道の組長達にして、裏社会を取り仕切る四天王だ。この人たちに逆らうと後の祭りである。捕まって帰って来た人はいるとかいないとか...さて、そんな組長達は自分の息子の愚痴や今後を話すのが月に一度の日課となっている。それがこの、裏の組長会合、名を「茶会」だそうだ。 「僕達もいい歳だ、あまりお酒は控えよう」 「そう言って1番強いのは二郎やろが」 「ふふ、僕もまだまだだよ。ただ皆が弱いだけさ」 「喧嘩売ってるなら買いますよ?」 「おお!俺も買うぜ?」 「やめとけやめとけ、後の祭りや。そんなことより、最近ここから近い山の方でなんや事件が多いらしいな?なんて言うたか..あー、あれや」 「ヤクの事ですか?」 「そんなんとちゃうねん、もっとこう..」 「それって、あれかな?僕たちの知らないヤクザがいろいろとあの山で嗅ぎ回ってるって言う..目撃者が多く、ご近所さんは迷惑してるとか言ってたよ」 「嗅ぎ回るって??山ってどこのだ?」 「ほら、息子達が訓練で使っている道場の裏の、あの山ですよ」 「あー!あれか!!少し探るか?」 「いや、ここは泳がせよう。これはそんなに大きなヤマじゃない」 「それもそうだな」 「何かあればまた菓子折りを近所に持ってかなな」 「今度はハムの方がいいですかね?」 なんてことを、呑気に話している組長達はまだ知らない。今から起きる大惨事に..
/5ページ

最初のコメントを投稿しよう!

15人が本棚に入れています
本棚に追加