5人が本棚に入れています
本棚に追加
「あたしも一眠りしてくるわ。あ、船は出して進めといて。」
ぐっと背伸びをして、あたしは船室へと向かう。
晃は欠伸を出しつつも、言われたよう帆を張る準備を進める。
「着いたら起こしてー。」
ひらひらと後ろ手で軽く振り、バタンと甲板と繋がるその扉を閉めた。
そうしてそのまま自分の部屋へと向かい、備え付けてある簡素なベッドに倒れ込んだ。
ギシッと、軋む音がしたのは勢いが良かったせいかもしれない。
「着替えんの面倒くさ……。」
ポツリと呟いて、そっと目を閉じる。
初めは、気持ち悪かった。
シャワーを浴びても、その嫌悪感は消えやしなかった。
でも、今はもう何も感じない。
どうしてあたしが夜明けに帰ってくるのか。
きっと皆は知らないだろう。
言うつもりも毛頭ない。
汚れるのは、あたしだけでいい。
その決意は、これからも変わらない。
最初のコメントを投稿しよう!