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「っ、は、」
「、余裕、のようだね。」
物腰柔らかい口調で、上から声が落ちてくる。
薄目に入るその顔は、その声に似つかわしいくらいに綺麗な顔をしていた。
こういった奴が引っかかるのは、珍しい。
大抵は、酒に、権力に溺れた汚い輩だ。
富を蓄え、貪る、搾取する側の人間達。
そんな奴等を狙って、奪ってきた。
今回もいつものように、情報が集う酒場で餌が釣れるのを待っていれば釣れたものは大きかった。
良いとこのお坊ちゃんかなんかなのは知らないけど。
身なりは良く、身につけているものも申し分ない。
おまけに小綺麗な顔をしていた。
相手なんかいくらでもいるだろうに。
見る目がない馬鹿な男。
そんな事を内心思いつつ、頬を染めて声を掛けてきた若い男の誘いに乗ったのはつい数時間前の事だ。
そんな事を考えていたのが、伝わってしまったんだろう。
「っ、」
ぐぷっ、と。
突然勢い良く中を突き上げられて、視界に火花が散った。
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