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年が明け、1日1日ゆっくりと、僕たちは同じ時間を過ごした。
そんなある日。
「もし私が死んでも、あなたはまっすぐに生きてね。」
彼女がまた僕に言った。
僕はそれを聞いて、怖い気持ちを抑えながら震えた声で彼女に質問をした。
「君は僕と一緒に居て幸せ?」
彼女は驚いて僕を見たが、すぐに微笑んで言葉を紡ぎ始めた。
「この約1年間。あなたは私のために、色々なことをしてくれたでしょ?
私ね、出会った頃からそんなまっすぐなあなたと一緒に居られることが幸せなの。
だから今も昔も、あなたと一緒に居る時間が私の宝物よ。」
彼女はそう言って、左手で僕の頬を触る。いつもと変わらない暖かい手だ。
僕は、彼女の言葉が心に刺さった。
ああ、君も僕と同じだったのか。君にこんなことを言われる僕はどんなに幸せ者だろう。
「僕も君と一緒に居る時間が幸せだよ。僕はずっとずっと君が好きだよ。」
彼女の一筋の涙が、頬をつたっていく。
「…ありがとう。私も好きよ。…幸せ。」
彼女がそう言って微笑んだ。
その瞬間、僕の左頬から彼女の左手がすっと落ちていく。
僕はその左手を掴んでもう1度自分の頬へ。
だけど、その手は冷たかった。
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