5人が本棚に入れています
本棚に追加
大学と高校生活
圭吾の『尚にメロメロ作戦(花梨命名)』のおかげで、大学生活はわりと穏便に過ごせたと思う。
さすがに半同棲状態までなっていたら(結局寮にあまりいなかった)諦める人も多かった。
それでも私にくってかかって来たり、圭吾を誘惑しようとする人がいなかった訳ではない。
でもそうすると、ものすごい剣幕で圭吾が相手を凶弾するという公開処刑が待っているのでだんだんそういう事も減ってきた。
気楽なんだよなあ、圭吾といると。
圭吾の部屋でのんびりしながら思う。
圭吾は提出間近のレポートを作成していて、私はお気に入りの本を読んでる。
圭吾のレポートが終わったら圭吾と街に遊びに行く予定だ。
コーヒーが飲みたくなってキッチンに行ってお湯をわかす。
戸棚にあるマグとお土産にもらったクッキーの缶をテーブルに置いて、インスタントコーヒーの粉をマグに入れる。
クッキーの缶からナッツが中に混ざっているクッキーを数枚取り出してお皿に乗せた。
お湯が湧くのを待っている間、なんとなく圭吾を見る。
真剣な顔でカーソルに触れている。
目も鼻も口も
眉毛も顎の形も
惚れた弱みだろうか
すごく好きだ
マグを圭吾に渡すと「ありがとう」と言って私を片手で抱きしめた。
「もうちょっとかかる」
「うん」
へらっと笑うと(そうとしか表現出来ない)またレポートに集中した。
私もまた本を開いてみた。
圭吾とこうやって付き合ってるなんて高校の時は考えられなかった。
高校の時は圭吾の女関係は常に
殺伐としていた。
圭吾は女の移り変わりが凄く激しい時期があっていつ下剋上が起こってもおかしくなかったから。
とばっちりもいっぱいあった。
私の友達の花梨が圭吾の友達の尊と付き合い出したのが高校1年の春だった。
圭吾は既にモテモテで昼休みや放課後は彼女と一緒にいたけど、たまに花梨と尊と4人で行動することもあった。
そんな時、花梨と尊カップルに合わせて、圭吾と一緒になることがあったからやっかまれる事が多かった。
でもそうなると花梨が尊に、尊が圭吾を叱り飛ばすので、圭吾は彼女(達)に話をつけに行く。
ゲスな圭吾が更に最悪になる瞬間だ。
圭吾はその日は本気で怒っていた。
自分のせいで私が圭吾の彼女からシカトされてると聞いたからだ。
放課後、待ち合わせた彼女に圭吾は言った。
「ごめん冷めたわ、俺」
「なんでそんな事いうの?私は圭吾の彼女なんだよ、嫉妬だってするに決まってんじゃん」
「嫉妬だろうがなんだろうがやっていい事と悪いことがあるだろうが」
「圭吾が私の事大事にしないからそうなるのよ」
「そうなるってお前がそうしたんだろうが
ふざけんな
もう会わないから」
「それって別れるって事?
私のこと嫌いになったの?」
「だから冷めたんだわ
俺の周りに迷惑かける女を誰が好きになるんだよ」
「やだ、そんなの!
やっぱり尚が好きなんでしょう
あの女、最悪、人の男を奪うなんて」
「違うって言ってんだろ!」
圭吾は彼女を怒鳴りつけた。
「あいつのどこに女の要素があるんだよ
お前今まで俺の何見てたの?
今度またあいつに手を出したらただじゃ済まないからな」
最初のコメントを投稿しよう!