高校生時代

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尊と花梨は本当にお似合いだ、とつくづく思う。 見た目がふわふわの(中身はがっつり男前だけど)花梨と真っ直ぐでしっかりしている尊のカップルは対局で引き合うみたいにくっついてる。 羨ましいな、とは思う。 私の高校時代は今のところ何もない いや、圭吾のせいで波乱万丈だ 圭吾の女関係の見てると恋人として誰かと人間関係を築く事にうんざりしてしまう。 女の子らしい、とか1年生の春から既にどこかに置いてきてしまった 女の子らしいって見られたら、また圭吾の周りの女にやっかまれるからってのもある。 今歩いてる私達を知らない人から見れば、カップルが2組仲良く歩いてて、私の隣はイケメンで、めっちゃ青春を謳歌しているように見えるんだろうな。 実際は修羅場をくぐり抜けてはや2年って感じ。 しかも巻き込まれてるだけで得られるものは何もないやさぐれた女とやりたい放題のゲス野郎だ。 私はため息をついた。 みんなでファストフードの店に寄る。 尊との昨日のやりとりにはいきさつがあった。 詳しい話を聞いたらこの間、部活の帰りに本屋に寄ったら大人の女性に声をかけられたという。 圭吾もまんざらではなさそうだったから彼はその女性と一緒に同じショッピングセンター内にあるフードコートへ行った。 尊はまだしばらく本屋にいて、先に帰る、と声をかけにフードコートに行った。 そうすると圭吾も、もう帰ると言って彼女に別れを告げようとした。 すると彼女に連絡先を聞かれて更に圭吾に2万円を握らせようとしたのだ。 びっくりして圭吾の代わりに尊が断った。 バレたら部活的にもアウトだし、道徳的にもアウトだろう。 その時に圭吾は思ったのだ。 高校生同士で金銭のやりとりがなければ楽なんじゃないかと。 それで教室での圭吾の言った言葉に繋がった。 『ちゃんと付き合うとなると面倒だからこれからは体だけの娘にしようかな』 「俺の言った理由わかった?」 「ゲス度が増したわ」 「圭吾も尊も正直過ぎる位、正直だけど圭吾は本当に最悪」 「なんだよ、それ」 「絶対するなよ、それ」 目の前にあったポテトをみても食欲がわかない。 こんなイケメンゲス野郎が目の前にいたら、男の人に夢が描けないじゃん。 しばらく一緒にいたけど、 予備校の時間になったので店を抜けた。 圭吾も後ろからついてきた。 「2人の邪魔だろ」 と、言いながら。 付かず離れずの距離で駅に向かって歩く。 予備校は駅前にあるから途中までは一緒だ。 「じゃあ」 予備校の前で挨拶する。 「えっ、尚予備校行ってるの?」 「そう」 「外部受験?うちだってそんなに偏差値悪くないじゃん」 うちの高校は大学付属だから内部推薦で大体の人は無試験で進学する。 「行きたい学部ないし…N大ならいいかなって」 「地元離れるの?」 「そう」 「さみしいじゃん」 「は?」 私は圭吾を見た。 圭吾も自分で言っておきながら面食らった顔をしている、 「ごめん、俺何言ってんだろ尚には散々迷惑かけといて」 自覚あるなら自重しろよ! 「遅れるから、じゃあ」 私はビルの中に入って行った。
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