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「そうかもしれませんね」
と微笑んだあとで、桜子は言う。
「でも、会社のトップに立つことでも返せると思いますけどね、みなさんへの恩」
「お前……、実は一番冷静だよな」
と言ったあとで、芹沢は桜子を見て言ってきた。
「桜子……。
キスしてもい……」
そのとき、いきなり派手にドアが開いた。
「どうしようっ。
緊張しちゃうよーっ!」
杏太郎だ。
なにがあったのか、入ってくるなり、騒ぎ出す。
「鍵かけとけっ、桜子っ」
と芹沢が叫んだ。
いやいや。
客と社員が入れないとか、どんな会社ですか……。
桜子は、はは……と笑いながら立ち上がり、杏太郎を出迎えた。
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