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「いや~、多くは語れないんだけどさ~。
今度、物凄く緊張するプレゼンがあるんだよ~」
と入るなり、杏太郎は訴えてくる。
「プレゼンは、する人間の人柄にも左右されるからな。
お前は感じがいいから、有利なんじゃないか?
まあ、大丈夫だ、頑張れ」
とたいした根拠もなく、芹沢は言い、
「俺なら、お前を通す」
と更に根拠もなく言い、杏太郎の肩を叩いた。
「じゃあ、今すぐ芹沢さんがクライアントになってくださいーっ」
と叫ぶ杏太郎を、錯乱状態だな……と思いながら、桜子は見つめる。
「大丈夫だよ、杏ちゃん。
命までは取られないよ。
それにきっと、緊張のない人生なんて、つまらないよ」
「桜子……っ」
と杏太郎が手を握ってこようとしたが、その手を何処からともなく現れた白く長い指がはたき落としていた。
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