手嶋さんVS執事

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「ただいま戻りました、桜子様」  いつの間にか真横に、珈琲豆の袋を持った佐丸が立っていた。  ……今、はたきましたよ、この執事。  しかも冷ややかに見下ろしてますよ、と思ったとき、佐丸が杏太郎に言った。 「またアイスコーヒーですか? 杉原様」 「いや、違うよ。  みんなの顔を見に来ただけ。  もう行くよ」 と杏太郎は、しょんぼり言いながら、椅子の横に置いていた鞄を取った。 「お待ちください」 と佐丸が引き止める。 「今すぐ淹れますので、時間があるのなら飲んでいってください」  佐丸も、なんだかんだで人がいいよな、と桜子は思う。  そんな佐丸の前で、芹沢は志保の話をするかどうか、迷っているようだった。
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