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杏太郎が帰ったあと、桜子はチラシを作り、芹沢は何処から持ってきたのかわからない靴を磨き、佐丸はアフタヌーンティーの本を熱心に読んでいた。
一応、職場なんだろうけど。
全員が趣味を満喫しているようにしか見えないんだが……、今のとこ。
いや、趣味を仕事にしているということか? と思いながら、桜子は、
「ねえ、佐丸」
と呼びかけた。
「アフタヌーンティーの講座とかやったらどうかしら?」
佐丸が本から目を上げる。
「あれ、意外と決まりが細かいじゃない。
私はごちゃごちゃ言わずに食べさせろって思うけど」
昔は一皿ずつ給仕されていたらしいが、今はその手間を省くために、大抵、二段か三段のケーキスタンドで出てくる。
基本、サンドイッチ、スコーン、ケーキの順に食べるようになっていて。
一度、次の皿に手をつけたら、もう前の皿に戻ってはいけない……
ことになっているが、固いこと言わないで欲しいな~と桜子は常々思っていた。
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