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「まあ、アフタヌーンティーは、もともとは夕食前のつまみ食いから始まったことなので、どっちでもいい気もしますけどね」
と気のない様子で佐丸は言う。
「そうね~。
辛いものから甘いものに行ったら、また、辛いものに行きたくなるしね」
サンドイッチ、スイーツ、サンドイッチと交互に行きたい、
と桜子が主張すると、芹沢が、
「途中で辛いものが食べたくなったとき用に、スイーツの間にタクアンを忍ばせておいたらどうだ」
と言い出した。
……いや、そこまでは、と思った桜子はふと思い出し、
「そうだ。
辛いものといえば、自動車学校で一緒だった人が、日本酒は塩で呑むって言ってたんだけど」
と語りはじめる。
前のめりで靴を磨いていた芹沢が顔を上げ、
「……お前の話はどうしてそう取りとめがないんだ」
と言ってきた。
「慣れてください」
と佐丸がつれなく言う。
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